皆川博子「夕の光」『夕暮れの草冠』

 まずは飛浩隆を、続いて皆川博子の「夕の光」を読む。

 正直、2千円を出して購入するか迷っていたのだが、この皆川博子の短文だけでそれ以上の価値があり、もはや価格なんて考える必要はなくなった。

 皆川の紹介によって横瀬夜雨という、美しい七五調の詩に「殯宮(あらきのみや)」と名付ける戦前の詩人を知ることができたこと。

 皆川の紹介によって塚本邦雄の、令和の日本の「模造真珠」のような平和を揶揄する短歌を知ることができたこと。あの戦争を知る世代の悲惨な思いを知ることができたこと。

最後に、老境にある現在の彼女の生活を思わせる文章を読むことができたこと。

今の時代にこの文章をリアルタイムで読めて幸せだし奇跡のようだと思う。